今日の一言。
褒められれば、うれしい!?
2023-11-19
採血の時、診察室は賑やかです。「いいこだねー。」「かわいいねー。」「ちょっと痛いけど我慢だよー。」「おりこうさんねー。」血を取りながら私も言いますし、保定している動物看護師のTさんも言っているし、そばで見ている飼い主さんも言い続けています。採血が終わるまで声掛けが終わりません。そうするとワンもニャンも痛いのを我慢してじっとしてくれています。3か月ほど前からこの「褒め褒め作戦」を始めたのですが、効果抜群です。それまでは、「ちょっと血を下さいねー。」と言ったきり黙って採血していました。すると大方のワンニャンは「何かされそう、あっ何か痛い!やめて!」と動いて逃げようとします。
すると針が抜けて採血失敗、違うところから取り直し、です。どうすればじっとしていてくれるかなあ、と思案していて気づきました。飼い主さんがよく「こちらに電話してから抱っこして捕まえようとしたら隠れちゃって大変だったのよ。」と言われることを。どうも日本語というか単語の意味を分かって「病院」「やまびこ」を聞いたら「ヤバイ!逃げろ!」となるようです。それなら誉め言葉を聞けばうれしくなるのではないか、と考えた次第。飼い主の皆さん、ワンもニャンも毎日たくさんほめて、ほめて、ほめまくってくださいね!

そろそろ寒さ対策を。
2023-10-29
さすがに朝晩は冷え込んできました。外飼いのワンには厳しい季節がやってきます。若ければ何も心配いりませんが、10才を過ぎてきたら、寒さ対策をしてやりましょう。朝晩のフードを少し増やして皮下脂肪をつけます!当地の冬は氷点下10℃になることも多く、年を取って痩せたワンは衰弱して立てなくなることも。慌てた飼い主さんが車に乗せて、抱き抱えて診察台へ。暖房のきいた診察室で暖かい空気に包まれると、みるみる元気になって起き上がる、ということがままあります。「あー、よかった。寒かったんだねー。」と一件落着。
犬小屋に厚手の敷物を入れたり、小屋を厚手のビニールで囲い、入り口もちょっと狭くして寒気が入りにくくする対策も大切です。

時々お口の中をチェックしましょう。
2023-09-26
先日「この3~4日、食欲が減っています。」という猫ちゃんが来ました。カルテを見ると数年前の猫エイズウイルス抗体検査が陽性です。いよいよ発症かな、と思い飼い主さんへ「口内炎ができてきたのかもしれません。」とお話ししました。猫ちゃんの顔を見ると口が半開きで、よだれが出ています。よっぽど痛いのだろうと思いました。お口の中を見ます。あーん、と口を開けてみると歯肉はピンク色です。でもすぐに「イヤニャ!」と口を閉じてしましいました。ん?犬歯の咬み合わせの残像が何か変です。飼い主さんへは「歯肉炎はなさそうです。」と伝え、猫ちゃんには「もう一回見せてね。おりこうさんだねー。」と褒めながら口を開けました。やっぱり。普通、犬歯の咬み合わせは上の犬歯が下の犬歯の外側になっているのですが、このコは右の上犬歯が下の犬歯の内側に入っています。口が閉じないわけです。よだれも出ます。きっと数日前にぶつかったか何かあって、上の犬歯がグキッと内側に曲がってしまったのでしょう。この犬歯はたぶんグラついているはずなので、鉗子でつかんでみることに。もう一度「おりこうだねー、あーん。」と口を開け、鉗子でつかんだ途端、「ナニスルニャー!」と顔を振ったものだから、犬歯が抜けました・・・。抜けた犬歯を観察すると根っこは折れておらず、1本まるっときれいに抜けていました。根っこの先が少し赤いので、この所だけで上顎とつながっていたようです。口はきちんと閉じていました。「サッパリしたニャー。」という顔でした。よかったニャー。

毛玉をあなどるなかれ。
2023-09-11
外の小屋で飼育されているウサギちゃんが、ケガしたみたい、ということで診察に来ました。このところ動きが悪く、餌も少ししか食べず、心配していたところ、当日になって後ろ足が赤くなっているのに気づき「大変!ケガしている!」でした。診察台に乗せ、体重を測ったらかなり痩せていました。体の後ろ半分は汚れていて確かに動きが悪いです。体温、心拍数は大丈夫。まずは、きれいに洗うことにしました。ボウルにお湯を入れ、後ろ半身を漬けてチャプチャプと洗います。すると、洗っていた動物看護師のTさんが、「ん?内またに大きな毛玉があります!んんっ?後足とつながっています!」ウサギさんの年齢は7才、ウサギとしては高齢です。お年のせいで毛繕いをさぼっていたようです。少しずつ毛玉をほぐしていくと後足が離れました。皮膚は赤くなっているもののケガはしていません。毛玉をバリカンで取ってスッキリ!拭いて乾かしてケージへ戻し、オオバコと葛の葉を入れたらモグモグ食べていました。よかったよかった。

鼻からズーピーと音がする猫ちゃん。
2023-08-27
このところ呼吸に合わせて鼻からズーピーと音が出る、ということで診察に来た中年の猫ちゃん。また、2か月くらい前、尿の色が濃い黄色だったので、スマホで写真を撮っておいたからと見せてくれました。ホントに黄色い!最近は普通の色になったそうです。なるほど。体重を測ってビックリ!以前より1kgも減っています!体温は平熱。心音も異常なし。呼吸がやや早く浅いです。鼻水はありません。何か変です。食事はちょこちょこ食べているとのこと。結膜や口腔粘膜を見ると貧血はなさそうです。
まず採血して血液検査をしました。結果が出るまで時間がかかるので、その間にレントゲン撮影。横向きの像は気胸(ききょう:胸腔の中に空気が入り肺は空気に押されて大きくふくらむことができない状態で肺に付いている心臓が浮いた状態)でした・・・。仰向けの像は心臓が右に寄っていました。血液検査は異常なし。飼い主さんのお話から推測すると、2か月前に何かあって(たぶん交通事故?)気胸になり、肝臓もダメージを受けて一時黄疸が出て尿が濃い黄色になったものの肝臓は回復、胸の中も左側の肺は小さくなったものの右側の肺が頑張って大きく膨らんで呼吸を維持している状況のようです。説明を聞いた飼い主さん「そういえば2か月前から外へ出なくなった。変だなーとは思っていたんだけど。ケンカに負けたのかと思っていた。納得。」食道を通りやすいウェットフードも食べさせてあげて下さいね、とお伝えしました。
